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旧1号といわれる時代は自分自身で仮面ライダーも演じていた。マスクもスーツも私の体に合わせてつくられていた。オートバイスタントもアクションもすべてこなしていた。今では、とても考えられないことだが、この頃の私にとっては当たり前のことだった。
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本郷猛は改造人間である。この言葉は私の胸にジンと来た。18歳で上京し、25歳でこの役を得るまで、東京という大都会になかなかなじめず、決して恵まれた青春時代を過ごしていなかった私にとって、もう2度と人間社会に戻れない本郷猛の、孤独を背負った哀しみに共感する部分を感じたのだ。
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旧1号時代から新1号に至るまで、サイクロンも変わっていった。それぞれが思い出深い。昨年、オートレースのCM撮影の時に20数年ぶりにサイクロン号と再会を果 たした。あまりの懐かしさに撮影現場の中を走らせてもらった。当時と変わらない感触が伝わってきたときは嬉しかった。あのエンジン音と排気の匂いは私の体にしっかりと刻み込まれている。
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新1号となってから登場した変身ポーズ。当時のファンの子供たちがこぞって真似をしていた。仮面ライダーがブレイクした大きな要素であったと思う。このポーズは当時番組全体のアクションを担当していた大野剣友会の若頭役、今は亡き高橋一俊さんと一緒に考えたものだ。眠狂四郎の円月殺法がモデルになっているのはあまり知られいはずだ。2号ライダーから始まり、新1号、V3へと続いていく変身ポーズだが、演じた佐々木君、宮内さん、そして私はそれぞれが「俺が一番」だと今も主張している。
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この二人なくして仮面ライダーは語れない。特に「おやっさん」こと、今は亡き小林昭二さんには役者としても人間としても、いろんなことを教わった。亡くなられたことは本当に残念だ。滝こと千葉治郎さんは今は役者を引退してしまわれたが、またいつかお会いしたい一人だ。
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仮面 ライダーシリーズのもう一つの主役とも言うべき怪人達。中でもこの「イカデビル」が好きという声をよく耳にする。やはり「死神博士」を演じた天本英世さんのインパクトが強かったんだと思う。今も、時々お会いする事があるがその存在感は際立っている。私が大好きな役者さんの一人でもある。
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ひとつひとつの傷や汚れもすべて貴重な思い出だ。いろんな人にあげてしまって手元に残っているのはこれしかない。一度テレビの鑑定番組に出したら、結構な値段が付けられたが、これらは決して手放すことなく、大事にとっておきたい。